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開発者に聞く



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このコーナーでは、日立製作所の研究所等で研究・開発を行っている技術テーマを中心としたコラムをお届けします。 研究員にインタビューを行い、技術テーマ解説・開発過程におけるエピソードなどを交えてわかり易くご案内いたします。
お客さま視点、生活者視点から「経験価値」を提供するデザインソリューション
■ お客さまに満足を提供するエクスペリエンス・デザイン

− 近年、製品やサービスにおけるデザインの果たすべき役割が大きく変化しているように思えます。デザイン本部ではそのトレンドをどのように分析しているのでしょう。
古谷: いまデザインは、従来のような「製品の使いやすさ」や「外観品質」の向上に加え、人が本当に望んでいることを見出し、新しい生活像を描くデザイン、人と機器のよりよい関係を作るデザイン、そして商品や事業のイメージをわかりやすく伝えるデザインへと、期待される領域を大きく拡大しています。その背景には、近年企業が提供する製品やサービスが、あまり機能や性能面での違いが見えにくくなってしまっている“コモディティ化”が大きく影響していると思います。
 そこで近年は、高齢化社会への対応やデジタルデバイドを解消するためのユニバーサルデザイン、ユーザビリティデザインなどが注目される一方で、その製品やサービスがお客さまにどのような価値ある経験をもたらすのかという「経験価値」のデザインが、非常に重要な要素になってきていると考えています。
− 「経験価値」とは、どのようなことを意味するのでしょうか。

古谷: 「ユーザー・エクスペリエンス」あるいは「カスタマー・エクスペリエンス」という言い方もされますが、私たちは数年前から「エクスペリエンス・デザイン」という呼び方で、デザインソリューションとしての実践を始めています。
 考え方としては、コーヒー1杯の値段で説明するとわかりやすいと思います。コーヒーは豆の状態なら1杯分、数十円ほどの値段です。これが缶コーヒーになると120円、街のカフェなら300円ほどになる。ところが心地よいホテルのラウンジで飲めば1,000円は支払うことになりますね。しかしその値段でも人々は支払うことにためらいはない。


図1 統合チャネルソリューション FREIA21+ サービスの形態
―気づき―
※クリックして拡大図をご覧下さい
 この価格差は何かといいますと、豆は「原材料」、缶コーヒーは「製品」、カフェは「場所」、そしてホテルのラウンジで過ごす心地よい体験が「経験価値」というものに相当するわけですね。
 各段階で価値が違いますが、最終的には「心に残る記憶」あるいは「納得のいくもの」「自分だけに用意されたもの」といった経験価値に、お客さまは最高の対価を支払ってくださることになる。
 製品開発のスピードが上がり、どのメーカーでも似たような製品やサービスが提供されている今だからこそ、その企業ならではのブランド、あるいは新しいライフスタイルやサービススタイルといった、誰も真似のできない新しい価値を生み出し、お客さまに素晴らしい体験を提供していくスタンスが求められているわけですね。

■ uVALUEコンセプト実現による革新的な価値を創造

− 「ユーザー・エクスペリエンス」を重視する考え方は情報・通信グループのuVALUEとも、考え方、方向性として非常に近い印象を持つのですが。

古谷: そう思います。uVALUEでは、社会を構成するすべての人々や組織どうしが、価値を「共創」することのできる環境と、日立の幅広い技術やノウハウが融合することによって生まれる、今まで以上の価値の連鎖が非常に重要な要素となっています。それはまさしく、デザイン本部が考えるお客さまにとっての新たな価値、つまりは「経験価値」と同じベクトルを向いているわけです。
 日立は、インターネットのショッピングモールのようなバーチャルな世界も構築できるし、リアルな店舗の物流、製造業や社会インフラのシステムなども構築できる、非常に幅広い技術とノウハウを持っています。すると、お客さまから見た場合、ユビキタス情報社会の中で、バーチャルからリアルまでをシームレスにつなぐ「経験価値」というものを提供できる企業は、日立しかないのではないかという期待が生まれてくるはずです。
 その意味でも、uVALUEのコンセプトを、エンドユーザーのお客さまに体感していただくためのさまざまなアプローチ、uVALUEとして生み出される製品やサービスの嬉しさを実感していただくためのデザインを考えていく上での視点として、エクスペリエンス・デザインが重要な役割を果たしていくと考えています。実際に、昨年の「日立ITコンベンション」から、デザイン本部と情報・通信グループが連携した取り組みを開始しています。
− それが「ユビキタスタウン」ですね。

古谷: ええ。昨年のユビキタスタウンでは、オフィスやストリート、ショップ、駅、自動車といったシチュエーションごとに、製品と要素技術、デザインソリューションを組み合わせたユビキタスの価値を紹介しました。来場されたお客さまにはミューチップ内蔵のIDカードを配り、さまざまな場面でつながる価値を体感していただきました。
 今年も引き続き、日立ITコンベンション2004のテーマ展示で、さらに進化したユビキタスタウン、uVALUEがめざす革新的な価値を体感していただきたいと考えています。



図2 統合チャネルソリューション FREIA21+ サービスの形態
―理解―
※クリックして拡大図をご覧下さい
■ お客さまの生活スタイル変化に適応したチャネルでお客さまと銀行をつなぐ

− これまでに、どのような経験価値のソリューションが生まれているのでしょうか。
古谷: 例えば銀行のお客さまを対象とした「統合チャネルソリューション FREIA21+」というものがあります。銀行が他行と差別化を図るには、やはりお客さまと銀行との関係性を、より親しみやすく柔軟につなぐための「経験価値」の向上が必要です。
 そこではまず、お客さまの目的に応じ、インターネットや携帯電話のダイレクトチャネルか、営業店のリアルチャネルかに誘導するための施策と、相互チャネルの有機的結合による、お客さまサービスおよびセールスの強化が重要なポイントとなります。
 また、お客さまがリアル店舗へ足を運んだ際、今までならATMを使ってすぐ帰るというパターンが一般的だったと思いますが、そこに別の金融商品を思わず知りたくなるような「気づき」のエントランスを配置したらどうなるか。さらに、気になった商品の内容を簡単に知ることができる「理解」のサイト、行員と気軽に相談しながら満足のいく取引が行える「納得」のスペースなどを提供することで、お客さまニーズに最適なソリューションの提供や、今までにない信頼のリレーションシップが生まれると考えました。
 こうしたねらいを実現するため、大型ディスプレイで提供するコンテンツや営業店の空間、インターネット・バンキングの画面にいたるまで、幅広い領域のデザインと企画・開発・運用までのワンストップソリューションを提供しています。もちろんFREIA21+は、金融機関と、そのお客さまとをいかに効果的に結びつけられるかの基盤であり、そのうえでどんな経験価値を提供するかは、お客さまと日立で共創していくことになります。

− 今後のuVALUEとの連携が楽しみですね。

古谷: 日立ならではの価値を伝えるためのデザイン、お客さまに心地よい経験の積み重ねをしていただくためのデザインソリューションを積極的に提供していきたいと思います。どうぞご期待ください。


図3 統合チャネルソリューション FREIA21+ サービスの形態
―納得―
※クリックして拡大図をご覧下さい
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