ヘッダをスキップ   IT(情報・通信)総合サイト Japan Site

ナビパラ.コム日立トップページへ


ここからグローバル・ナビゲーション |  ホーム  |  ソリューション  |  イベント・セミナー  |  IT情報  |  経営情報  |  ナビパラ通信  |   コラム  |グローバル・ナビゲーションここまで

    会員登録登録内容確認/変更退会    サイトマップ    お問い合わせ
検索 by Google

 > 詳細な検索


コラム

ここからブレッド・クラム ホーム > コラム > 開発者に聞く > バックナンバーブレッド・クラムここまで

ページタイトル

開発者に聞く



ここから本文
 
このコーナーでは、日立製作所の研究所等で研究・開発を行っている技術テーマを中心としたコラムをお届けします。 研究員にインタビューを行い、技術テーマ解説・開発過程におけるエピソードなどを交えてわかり易くご案内いたします。
自動車の安全性向上を支える
ミリ波車載レーダー用送受信モジュールの小型・低コスト化技術
■ レーダーで車間距離や相対速度などを算出

− まず、ミリ波レーダーとは何かを説明していただけますか。
近藤: 自動車に搭載される76GHzミリ波帯レーダーは、対象物からの反射波を測定し、距離や相対速度などを検知する装置で、現在実用化されているレーザーレーダーに比べ、雨や雪、霧などの悪天候下においても高い精度を保持できるのが特長です。具体的には、「前方監視レーダー」と「近距離センサー」という2つの用途を想定しています。
 まず「前方監視レーダー」では、150mぐらいまでの距離にある先行車を検知して、車間距離を一定に保つとか、危険な際には警報を出したり、アクセルやブレーキを制御します。

近距離用センサー(この写真は製品予想イメージです)
※クリックして拡大図をご覧下さい
 一方の「近距離センサー」は、20mから30mくらいまでの距離において、前方、側面や後方から近づいてきた自動車などを検知し、急な割り込みに対する危険回避など、衝突の危険性を低減するようなアプリケーションに対応します。どちらも周囲の状況認識と対応を自動的に行うことで、今後、事故防止やドライバーの利便性を支援する必須デバイスとなってくるはずです。
− ようやく普及が始まってきた段階ということでしょうか。
近藤: そうですね。近年、国内外で自動車の車間距離自動制御装置や車間距離警報システムなどに実用化され始めてきた段階ですが、ミリ波レーダーの民生用機器への応用はこの分野が初めてということもあり、レーザーレーダーに比べてコストの高い点が普及の妨げになってきた感があります。また、乗用車はスタイルやデザイン性も重視するため、センサーの大きさや重さも、採用される際の重要なポイントになります。このため、安全な車社会の実現に向けたシステムの普及には、その心臓部であるミリ波送受信モジュールの低コスト化・小型化が必須であると考えていました。


クルマ装着時のイメージ図
※クリックして拡大図をご覧下さい
■ 金属に代わり、セラミック製の多層基板を採用

− 従来技術との違いを教えてください。
永石: 日立ではすでに、高周波回路基板と平面送受信アンテナを、金属ベースプレートの表裏に配置する一体構造を採用したミリ波レーダーを製品化しています。このうち高周波回路基板は発信器やパワーアンプ、レシーバを集積化したMMIC(Microwave Monolithic Integrated Circuit)と呼ばれる実装方法を用いています。今回は、この構造の特長を生かして一層の小型・低コスト化を進めるため、現状モジュールの同軸ケーブル構造やMMIC実装方法を簡素化する方向で研究を進めました。
 新開発の送受信モジュールでは、携帯電話などにも多く使われているセラミック多層基板の上に、直接MMICを実装する構造を採用しました。つまり、高周波回路基板の機能をすべてセラミック多層基板に置き換え、金属ベースプレートと高周波回路基板をはり合わせる工程を不要にしたわけです。また、配線を多層セラミック基板の各層に立体的に配置する“多層配線構造”としたことで、モジュールの容積を低減しながら、構造を簡素化したのが大きなポイントです。

送受信モジュール
※クリックして拡大図をご覧下さい
 さらに、絶縁体に貫通穴(ヴィアホール)を設けて金属を埋め込むという「ヴィアホール構造」によって、MMICと送受信アンテナとを電気的に接続する同軸線路構造を多層基板内に作りこむ技術も開発しました。テレビのVHF用アンテナには黒い同軸ケーブルがついていますが、あれをセラミックの中に作り込んでしまったというイメージです。
近藤: もう1つ、独自開発の「周期構造蓋」も重要な技術です。ミリ波レーダーの送受信モジュールでは、MMICやコンデンサを小さな箱の中に気密封じしなくてはなりませんが、単純に蓋で覆ってしまうと毎秒760億回も振動する76GHz帯の周波数では、送受信の電波を交錯させてしまうため、従来はそれぞれの部品を小さな箱の中に分けて、互いを見えないようにしてきました。
 しかしそれでは組立が大変でコストが下がらない。そこで細かく部屋分けしなくても問題を解消できる「周期構造蓋」というものを開発し、組立を簡便化したのです。これらの技術を適用し、部品点数を極端に減らしながら組立も簡便化したことで、従来に比べ大幅な低コスト化が可能なうえ、容積で約1/5、重さは約1/10という小型化を実現しました。


送受信モジュールの構造図
※クリックして拡大図をご覧下さい
■ 360度を見渡すには4個のミリ波センサーが必要

− 特に苦労した点はどのあたりでしょうか。
篠田: レーダー性能はアンテナにも大きく左右されますが、76GHz帯という超高周波では、効率の良いアンテナ設計が特に重要です。セラミックは基板内に電波が閉じ込められるので、従来のアンテナよりも不要な放射が少なくなる特長がある反面、伝送ロスが大きい、小型化による素子間干渉が大きいという課題がありました。それらの条件を考慮しながらアンテナの最適化設計に力を注ぎ、従来アンテナと同等の検知角100度という、満足のいく結果を出すことができました。
− 今回の低コスト化と小型化で普及が促進されるといいですね。
近藤: もちろん、そう願っています。現在はまだ業界内で、車体側面につける近距離センサーが製品化されていないため、それを装着した自動車も実在しません。しかし本当の意味での安全性を考慮するなら、車体の360度全体を見渡せるよう、最低でも4個のミリ波センサーが必要だと私たちは考えています。そのためには一層のコスト低減が必要だということが、今回の研究開発の大きなモチベーションともなっていました。新開発の送受信モジュールは、前方用と近距離用の双方に使える形となっているので、今後の普及が大いに期待できると自負しています。
− 今後の展開は
近藤: 今回開発した送受信モジュールは、前方監視レーダーの低価格化と、近距離センサーも含めた全方位監視システムへの応用拡大に道を開く技術だと確信しています。レーダーは標的を確実に検知してこそのデバイスなので、標的との距離や速度検知、位置精度を、より正確にとらえるための性能向上に引き続き力を入れていきたいですね。さらに将来的には、例えば電車などで高速インターネットを使えるような次世代型のブロードバンド通信への応用なども可能だと考えています。
―― 期待しています。今日はどうもありがとうございました。
[ Back ] 2 / 3 [ Next ]

本文ここまで


ここからローカル・ナビゲーション
開発者に聞く
ここから1つ下の階層
バックナンバー

ITウオッチング

モノがたり
ローカル・ナビゲーションここまで






ページトップへ

 
ここからフッタ  | サイトの利用条件 | 個人情報保護に関して | 商品名称について | 推奨環境 | 当サイトへのリンクについて |フッタここまで

© Hitachi, Ltd. 2001, 2008. All rights reserved.