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食べ物の美味しさは色で決まる

青いキャベツに緑の肉。紫のから揚げに、灰色のフルーツ。

味や食感がまったく変わらないとしても、日ごろ親しんだ食べものが、こんな色になってしまっただけでとても食べる気がなくなります。

実は私たちは食べ物に関して、これまで美味しいものや特定のものを口にし、その味わった体験から、「らしい」色を求めています。
とんかつは、とんかつ「らしい」色。キャベツはキャベツ「らしい」色。

食べ物の美味しさは色で決まる

これは味覚に関しても同じで、辛いものは辛さを感じる色(赤や黒)、甘いものは甘い色(黄色やピンク)をしていないと、その食品の美味しさや一番売りとなる味の特徴に対して感じる大きさが減少してしまいます。これは味覚色と呼ばれるもので、味覚の「らしさ」を色で表現しているものです。
つまり私たちは食べ物を前にして、まず色で味に対しての期待を持ち、その上で食べることで、期待通りの味を感じ、美味しく感じたりもします。

例えば、こんな面白い実験があります。被験者は目隠し状態。その人に生のじゃがいもを一切れ食べてもらい、それが何かを当ててもらう、というもの。
すると驚いた事に「りんご」「梨」「柿」といった目を開けていれば考えられないような答えがいくつも出たといいます。

りんごとジャガイモの味など、普通に考えれば間違いようがありません。それが単に視覚をふさいだだけでこのようなことが起こってしまうのです。
ジャガイモを生で食べるという経験がないのもあるのでしょうが、「見た目」を抜きにして、似た味や食感を探したら、人間の舌はそれほど信頼できるものではない、とも言える結果です。

また別の実験では、まったく同じ味のコーヒーを、濃い赤、明るい赤、青、黄色のボトルに入れて試飲し、その味を次の4択で評価を行いました。
すると、同じ味であるにもかかわらず、

濃い赤=「風味と香りが強すぎる」
明るい赤=「風味と香りが濃い」
青=「風味と香りがやや柔らかい」
黄色=「風味と香りが薄い」

と味の評価が分かれる事になったといいます。

人はまず、その色を見て「これは濃い」味だと評価をした後に味わうと、本当に濃い味に感じるのです。様々な食品のパッケージを考えた場合、これは実に面白い現象です。
つまり「濃さ」を売りにする食品は濃い色をつければ、味覚色に影響されたお客さんは、実際にその食品の味を間違いなく濃いと感じてくれる事になります。