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日本人が和室で一番くつろげる理由

和室は落ち着く。これは多くの日本人共通の思いでしょう。
実はこの印象には、日本人特有の色彩から来る理由があるのをご存知でしょうか。

まず和室全体が障子や畳、漆喰の壁や木目などアイボリー系やオフホワイトの色味で表現されています。この色合いは刺激が少なく、身体全体をリラックスさせる効果があります。そして、さらに大きな理由が、それぞれの色の反射率です。これは色の明度(明るさ)というもので表現されているものです。

和室をこの明度の尺度で眺めてみると、その見事さがわかります。
明度40%の畳。正面には柱などに使われている木目、これが明度50%〜53%。
ベージュの化粧壁が明度55〜60%。そして天井。たぶん明るい感じの木目が使われています。これが大体明度60%強。そして、この部屋にやってくる私たちの肌の色、これがちょうど明度50%あたりになります(日本人の場合)。人間に限らず生き物の多くは保護色に囲まれているとき安心できます。この明度50%は日本人にとってちょうど保護色に当たり、非常に安心できる空間なのです。

この一番落ち着く自分の肌の色を中心に、目線より下は若干押さえた明るさの色、目線の正面には同じかやや明るめ。上に行くほどさらに明るめの色が配置されています。

上に行くほど、同じベージュでも明るくなっていることで、天井と空間の圧迫感が最小限に抑えられ、部屋が広く、天井なども高く感じられ、開放感も高まる仕掛けです。

洋室が真似できないのは、こうした明度の演出です。立体的な家具などを置かなくてはいけない関係上、視野が途切れ、部屋全体の階層的な演出が難しい構造なのです。

日本人が和室で一番くつろげる理由