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街の中の「赤」の仕事、「青」の仕事

街を見渡してみると実にいろいろな看板を目にする。その色も多彩に入り乱れ!と一見そんな印象を持たれる方も多いかもしれない。しかし、ちょっと色彩の傾向を意識してもう一度見渡してみると、ある傾向に気付く事になる。
それは、看板の多くが赤であり、さらに青い看板をあまり見つけることができない、というものだ。
看板の目的は、色彩面から見ると次の3つが考えられる。それは「目立つこと」「お客さんに、色によるメッセージを伝えること」「興奮させること」。

街の中の赤

目立つとは、もちろん看板最大の目的だ。いくら良いデザインの看板でも、それが誰も気付かないものだとしたら、看板の意味はない。「色によるメッセージを伝える」とは、「安い」「癒し」「和風」「高級」といった、お店がお客さんに伝えたい一番のアピールポイントを伝えることだ。例えば高級をアピールしたい店が、店頭を黄色と赤、マクドナルドのような配色にはしない。

そして3番目の「興奮させること」とは、文字通りの意味。お店にとって一番ありがたいお客さんとは、もちろんお金を沢山遣ってくれる人のこと。そして人はお金を遣うとき、多少なりとも興奮状態にある。白けていたり、つまらないと感じている人が喜んでお金を遣うというケースは考えにくい。その意味で、若干の興奮を看板によって感じながらお店に入ってきていただく、というのはお店によって非常にありがたい状態なのだ。

こうした条件を考えながら、その最も相応しい色を考えてみると、彩度(派手さが決まる)が高く、警告色(人間を緊張、興奮させ、見逃すことの出来ない色)であり、進出色(こちらに向かってくるような印象を与える)である赤は、もっとも看板に相応しい色となる。逆に青は、最も好感度が高いにもかかわらず、看板にはあまり使用されない。青は人の気持ちを沈静化し、さらに言えば食欲も低下させる。お財布の紐が硬くなり、飲食店にも向かないとなれば、街であまり見かけなくなる、というのも当然だろう。